今回は「医師の人事では、経験や力量で評価をしてほしい」という内容です
研修医時代のことです。いわゆる国立病院で研修をしていたのですが、
なんとも解せないことがあったのです
ある外科系診療科に2名の医師がいました
一人は、大学院を修了して医学博士の学位を持っている医師歴8年目のA医師
もう一人は、医師歴4年目のB医師(医師としては3年の経験値)
でも、この二人、立場がまったく違っていたのです
A医師は消化器外科のレジデント、B医師は心臓血管外科の医師
なかなかピンと来ないと思いますが、医師の立場は概ね次のような形があります
1~2年目:初期臨床研修医またはジュニアレジデント
3~7年目:後期研修医またはシニアレジデント(専門修練医、専修医と呼ぶ施設も)
8年目~:〇〇科医師またはスタッフドクター(アテンディングフィジシャンとも)
その病院では、〇〇科医師と呼ばれる医師は世の中でいうスタッフドクターで、国家公務員としての扱いでした
つまり、B医師はスタッフドクターという一段高い医師として雇用され、A医師はレジデントという一段低い立場の医師として雇用されていたのです
A医師から直接聞いてはいませんが、彼の経歴を想像するとこうなります
研修修了後、1年間外科医として修行。その後4年間大学院で研究生活を送ったのちに医局から派遣されて病院に来た
医師の大学院生は、4年間研究に没頭する場合もあれば、生活のためのアルバイトをするゆとりが十分にある場合もあるでしょう
A医師が後者の場合、医師としての経験は、大学院生4年間をぎゅっと圧縮しても2年程度にはなるはずです
であれば、純粋な医師経験としてはB医師よりも多くなるはずなのです
にもかかわらず、A医師はレジデントで、B医師はスタッフドクター。待遇面で大きな差があります。A医師のほうが医師歴としては長いのに、です
大人の事情とはよく言ったものですが、察するに、心臓血管外科のスタッフドクターのポストが一つ空いていた、ということなのでしょう
それでも待遇は雲泥の差ですから、解せません
こうした医師の人事はやめてほしい、純粋に医師経験と力量で評価してほしいと思うのです