結論から申し上げると、「不織布マスク」の着用が必要なのは、医療・介護従事者と呼吸器症状のある患者、です。健康な人が「不織布マスク」を着用する必要はありません。とくに、「不織布マスク」が入手困難な状況では、健康な人は「不織布マスク」を消費しないほうがよいでしょう。入手している「不織布マスク」は、自身が患者となって使うときにそなえ、温存するのがよいと思います。布マスクが手に入ったり、自作できる方は布マスクを使うことで温存できますし、それによって本当に必要な医療・介護の現場に「不織布マスク」が回るならば、それに越したことはありません
健康な人がマスクをする意義は下記3つではないでしょうか
- 気道の加温・加湿
- 唾などの誤嚥等(むせ)・鼻がむずがゆいことによる生理的なくしゃみ・咳の飛沫から他人をまもる
- 電車や人混みで「マスク」をつけていないことによる白い目の防止
首都圏ではとくに3つ目が大きいと思います。最近、電車内でのマスクにまつわるトラブルが報道されていることをご存知な方もいらっしゃるでしょう。また、医師の中には、「マスクをすることで、顔を触りにくくなるのではないか。接触感染のさいたるものは病原体がついた手で顔をさわること、それを防止できる可能性」について言及する人もいます。これも意義の一つかもしれません
そして、もっとも大切なのが、「不織布マスク」だけで感染症を防ぐことはできない、ということです。多くの方が、「マスクをしていればOK」という感覚をもっているのではないかと危惧しています。たとえ「マスク」をしていても、手指衛生がきちんとできていなければ、簡単に感染してしまいます。マスクを過信せず、手指衛生をしっかり行うことが重要です