健康診断を受けた日のお話
受付で待っていると、近くの男性が受付スタッフと押し問答していたのです
スタッフ:「会社と健保が費用を負担しているようですので、結果は会社経由になります」
男:「え?それって、会社に全く同じ結果表が行くということ?」
スタッフ:「さようです」
男:「それはないよ!健康診断の結果って私個人のものでしょ?個人情報でしょ?」
スタッフ:「会社様が費用負担されていますので、会社に結果通知する契約になっております…」
男:「え~…。昨年と医療機関が違うからなのかな~」
納得できてはいないけど、しぶしぶ承知する男性でした
たとえ自分より年下に見える相手でも、ため口をたたくのはどうかと思いますが…そこは置いといて
さてさて、この押し問答、労働安全衛生施策の中で重要なポイントを教示してくれています
1.結果表は誰のものなのか?
2.同じ結果表が会社に通知されていいのか?
労働安全衛生法に定める健康診断は事業者に実施義務があり、その結果を事業者が取得することが必要です
た・だ・し
あくまで法律に規定されている項目のみです。法定項目と言います。そして、健康診断を受けたという情報、結果の概要にのみと考えるべきです。ここ、とっても重要です
法定項目でないものは、事業者は取得することは不要です。取得すべきでないと考えたほうがよいでしょう。
また、法律に規定された項目についても、生データについては事業者が取り扱うことは避けるべきです。産業医や産業医としての資格要件を有した医師、産業看護職などの医療従事者に取り扱うようにさせるのは構いません。
さらに、法律には「事業者が結果を通知するように」とも定めていますから、事業者が前述の法定項目の結果を取得することは何ら問題ありません
結論1:結果表のうち、法律に規定された項目については、事業者のもの(ただし生データの取り扱いは医療従事者に任せる)
結論2:結果表が「法律に規定された項目のみ」事業者に通知されるのは正しい
そして個人情報との兼ね合いですが、こうしたトラブルを避けるため、会社は健康管理規定の中に個人情報保護について明記し、周知する必要があります。もっと言えば、健康診断を受けに行く社員に「規定にあるとおり、結果表は会社が健診機関から2部受け取る。一通は会社用、もう一通が労働者用だ」と言って聞かせることです
労働安全衛生法66条
労働安全衛生法施行規則44条
健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針