労務管理~新型コロナウイルス感染症

投稿者: | 2020年2月12日

WHOが今回の新型コロナウイルス感染症をCOVID-19という呼称にすることが発表されました。日本でも新型コロナウイルス感染症によって体調を悪くされている方がいます。回復を願うばかりです

さて本日は、先般厚生労働省が発表したQ&Aについて、重要なポイントをご紹介します

こちらの企業向けQ&Aによると、「新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、欠勤中の賃金の取り扱いについては、労使で十分に話し合っていただき、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えていただくようお願いします。」とあります

これは、新型コロナウイルス感染症と診断された、あるいは濃厚接触者と判断された等の労働者を休ませる場合、企業側が休業手当を払うべきかどうか、混とんとしている状況がうかがわれます。指定感染症ならば、「休業手当も支払わなくていいから、とにかく休ませなさい、さもないと蔓延してしまう」、という趣旨のおふれがでてもおかしくありません

本来、感染症法に基づいて、都道府県知事が入院治療や就業制限を勧告した場合、企業側は休業手当を支払う必要はありません。しかし、今回のQ&Aでは、「労働安全衛生法第68条に基づく病者の就業禁止の措置の対象とはしません」とあり、つまりは休業手当を支払う必要性があることを示唆しています。「例えば熱が37.5度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります」ともあります

病原体が新しいこと、中国では亡くなられた方がでていることを鑑みれば、企業側は「休んでほしい」はずです。同僚にうつしてほしくないからです。ところが、一律に休ませる場合は休業手当が必要になる可能性があります。そうなると、「休ませる」ことに二の足を踏んでしまいそうです

では有給休暇をとらせるか?というとNGです。年次有給休暇は、労働者の自由意思に基づいて取得させないといけません。「新型コロナウイルス感染症が疑われるなら年次有給休暇で休みなさい」というのはNGなのです。かといって出社されては困ります。そこで、「特別休暇」等の休暇ルールを早急に策定すべきでしょう。少なくとも休業手当と同等に設定したほうが、無難だと考えます